タイ地域医療保健研修
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リーシュマニアに対する
Ravuconazoleの効果

98の国にわたり、毎年約1200万人が内臓もしくは皮膚リーシュマニア症に罹患し、免疫不全の患者は重症となる。現在治療薬として使用されているアンホテリシンB、miltefosineは高価、毒性が強く、治療効果が低い。アゾール系抗真菌薬はエルゴステロール系の合成を抑止する効果があるが、現在使用されている薬剤の短い半減期のため抗リーシュマニア薬としての使用は限界がある。この度ブラジルの研究者が第二世代の半減期の長いravuconazoleのリーシュマニアに対するactivityについてIn vitroでの研究を行った。Ravuconazole投与後、細胞内のpromastigotesおよびamastigotesに対するIC90(90% inhibitory concentration)は8-10µmol/Lであった。薬剤投与によりリーシュマニアは形態学的な変化(crumbled appearance)を認めた。これはATPを失い、代謝されない脂質が蓄積した状態である。Ravuconazoleのこの濃度は体内での濃度は人に害を及ぼさないため、抗リーシュマニア薬としてravuconazoleが有効である可能性がある。
画像出典:Wikimedia Commons

J Antimicrob Chemother 2018 Jul 3

#抗リーシュマニア薬はなかなか新しい薬剤が出ないため治療に苦慮しますが、ravuconazoleの臨床研究の結果を楽しみに待ちたいと思います。

潜在性結核に対してリファンピシンの単剤投与の有効性

潜在性結核に対しては6-9カ月間INHを単剤投与することが長期にわたり標準的な治療とされてきた。しかし多くの観察研究ではINHのレジメンは長期に渡るため完遂率が低く、それに代わりRFPを3-4か月、もしくはINH-rifepentineを12回投与する方法が同等であると検討されてきた。

この度、潜在性結核に対して4か月のRFPと9カ月のINHを比較した2つのopen-label, randomized control trialsが発表された。Menzies and colleaguesは9カ国で、18歳以上の6063人の成人をランダム化2つのレジメを比較した。5744人の患者が28カ月のフォローアップを終了した。治療の完遂率はRFP群においてINH群よりも有意に高かった (78.8% vs. 63.2%)。フォローアップの期間に活動性結核と診断された患者の発生率は同等であった(0.10 cases per 100 person-years for rifampin vs. 0.11 cases per 100 person-years for INH)。Grade3-5の副作用で治療を中断する数はRFP群の方が有意に少なかった (all events, 1.5% vs. 2.6%; hepatotoxic events, 0.3% vs. 1.5%)。 Diallo and colleaguesも同様の研究を行った。7カ国、18歳未満の844名の小児に対してRCTを行った。Primary outcomeは2つのレジメの安全性とし、secondary outcomeを治療の完遂とした。1-5の副作用は両軍に見られなかった。治療の完遂は有意にリファンピシンで高かった (86.5% vs. 77.1%)。フォローアップの期間中の活動性結核の発症はRFP群でなく、INHは2例であったが、有意差は認めなかった。

N Engl J Med 2018 Aug 2; 379:440.

N Engl J Med 2018 Aug 2; 379:454.

#印象的な論文です。潜在性結核に対するファーストラインがリファンピシンとなる日が近いのでしょうか。

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